呼吸中枢について詳しくはこちら
Contents
🔹呼吸中枢とは?
呼吸中枢(respiratory center)は、脳幹(延髄と橋)に存在する呼吸のリズムを作り出す神経の集合体です。
私たちが無意識のうちに呼吸を続けられるのは、この呼吸中枢のおかげです。
🔹呼吸中枢の位置と役割
呼吸中枢は大きく4つの部位に分けられます。
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延髄の吸息中枢(背側呼吸ニューロン群)
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主に息を「吸う」動きをコントロール。
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横隔膜や肋間筋を動かすように指令を出します。
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延髄の呼息中枢(腹側呼吸ニューロン群)
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激しい運動時や咳・くしゃみなどで息を「吐く」動きを担当。
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安静時の呼気は基本的に受動的なので、主に運動時に働きます。
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橋の呼吸調整中枢(橋呼吸群)
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吸う・吐くの切り替えをスムーズに行う役割。
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呼吸のリズムを整えて「深呼吸」や「浅い呼吸」をコントロールします。
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化学受容器との連携
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血液中の二酸化炭素(CO₂)濃度、酸素(O₂)濃度、pHを感知して呼吸の速さや深さを調整します。
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🔹横隔神経との違い
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呼吸中枢:呼吸のリズムを決めて「指令」を出す役割(脳幹にある)。
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横隔神経:その指令を受けて横隔膜を動かす「実行部隊」。頚髄C3〜C5から出ます。
👉 呼吸中枢が壊れると「指令が出ない」ので呼吸そのものが止まる可能性がある。
👉 横隔神経が壊れると「横隔膜が動かない」ため、深い呼吸ができず、呼吸が浅くなる。
🔹呼吸中枢の機能低下で起こること
呼吸中枢がうまく働かないと…
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呼吸が浅くなる
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過呼吸気味になる
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呼吸が不規則になる(チェーンストークス呼吸など)
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脳や体が低酸素状態になる
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自律神経症状(吐き気・倦怠感・頭痛・めまい)が悪化しやすい
特に「脳幹は自律神経の中枢」ともいわれるので、呼吸中枢の機能不全は自律神経症状と直結しやすいです。
🔹呼吸中枢と自律神経の関係
呼吸は「自律神経が支配する無意識の機能」ですが、一方で「意識的にコントロールできる唯一の自律神経機能」でもあります。
そのため、呼吸が浅く乱れている人は…
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自律神経のバランスが崩れている可能性が高い
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呼吸を深く整えるだけで自律神経が安定しやすい
実際、深くゆっくりした呼吸ができると副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。
🔹まとめ
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呼吸中枢は脳幹にあり、呼吸のリズムを自動的に作る。
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横隔神経は呼吸中枢からの指令を横隔膜に伝える「実行役」。
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呼吸中枢が弱ると呼吸が浅くなり、脳の酸素不足や自律神経症状につながる。
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呼吸を深く整えることは、自律神経の安定や体の不調改善に直結する。
2025年 8月 21日 8:34 AM